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​十二支機構譚

​jyunishikikoutan

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ニセコは、「雪 → 水 → 命 → 雪」へとめぐる循環の地。

その静かな再生の流れを層として重ね、干支と機械の融合に“進化の記憶”を刻む。


人の祈りが触れるとき、静寂の中から、新たな生命がそっと息づきはじめる。

循環・再生・共生

雪は降り、融けて水となり、大地を巡り、命を育む。その循環の中で、ニセコの大地は、山と風と水が響き合いながら、静かに進化を続けてきた。やがて人の営みの中から、鉄と機構の構造体がかたち造られる。それは自然を支配するためではなく、この土地の呼吸に耳を澄ませ、雪や風と共に在るための構造である。こうして生まれたのは、土地・自然・機械の共進化という新たな循環である。かつて祈りを媒介した神具は、この地で“機械の器”として再び魂を宿し、祈りの形そのものを更新していく。ニセコでは、山も風も川も“カムイ”として息づき、機械はその神々と共に語り合う存在となる。干支の機構生命たちは、循環と再生を象徴する、共進化する祈りのかたちである。

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第一層は、雪を象徴する白の層である。この白は、ニセコの自然をかたちづくる原点であり、すべての循環が始まる“静かな起点”として作品全体を支えている。雪はやがて水となり、命を生み、再び雪へと還る。その繰り返しの最初の瞬間を、この白は内包している。物質としての「層」でありながら、同時に“生命の記憶”を映す象徴として存在している。

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第二層は、「雪が水へと還る瞬間」を内包する層である。雪解けの水は、命をめぐらせ、やがて再び雪として還る。その循環の中で、水は禊のように物質を清め、葉はその気を受けて生命の記憶を捧げ、雲は祈りを天へと運ぶ。それらは古来の神事における「地と天を結ぶ儀式」の象徴であり、機械の構造と結びつくことで、“意識ある仕組み”として再構成される。人工の理性と自然の摂理がひとつの循環線上に重なり、水は時間を刻み、金属が呼吸し、祈りが形を変えながら息づいていく。

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第三層は、雪が祈りを宿す層である。すべての循環はここに還り、静寂の中で新たな始まりを待つ。舞い降りた雪は、無数の記憶と祈りを受けとめ、やがて御朱印として刻まれ、人と自然を結ぶ印となる。その白は、時間を越え、物質と生命の境を溶かし、この地に降り積もる“再生の記号”として息づく。

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三層が重なり合うとき、無機と有機は響き合い、ひとつの存在として目覚める。白の層は静寂の起点、水と機械の層は変化の意志、祈りの層は再生の光。鉄は雪の記憶を宿し、水は機械の体内で呼吸を続け、祈りにより形を持つ。その終わりなき環は、ニセコという大地の呼吸であり、ひとつの意識として溶け合う。

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